広島市中区 じぞう通り歯科こども歯科

乳幼児Q&A

授乳・離乳食・食事 予防(歯磨き・フロス) 予防(フッ素) 歯の病気 歯並び 舌小帯・上唇小帯・口腔粘膜 口のくせ(指しゃぶり、おしゃぶり、口唇閉鎖不全) その他

授乳・離乳食・食事

Q1.寝つきが悪く、夜泣きをするため、添い寝をして母乳を与えています。やめた方が良いでしょうか。

A.1歳2か月児を対象とした調査で、母乳を寝る前や夜中に飲む赤ちゃんはむし歯が多くあるという結果が示されています。添い寝をして哺乳をすると、赤ちゃんの口の中に母乳や育児用ミルクかすが溜まったまま寝てしまうことになります。母乳や育児用ミルクに含まれる乳糖は単独ではむし歯の原因にはなりにくいのですが、離乳食が始まっている場合プラークが歯に付着しており、乳糖を代謝する菌も停滞することができるため、乳糖から作られる酸はむし歯の原因になります。
赤ちゃんにむし歯をつくらせないためには、哺乳したらできるだけ口の中をきれいにして、汚れを残さないことです。歯磨きが難しければ、スプレータイプのフッ素で少し濡らしたガーゼなどで赤ちゃんの歯の表面を拭き取るだけでもよいので、口の中を清潔にすることを常に心がけましょう。

Q2.離乳食をスプーンで食べさせるとき、スプーンを口の中まで入れないように指導を受けました、どうしてですか?

A.食べるという機能は以下の5つの段階に分かれています。
①食べ物を見て認識する
②口に入れる
③噛む
④飲み込む
⑤胃に入る
まず下唇に軽くスプーンを乗せましょう。すると上唇が下りてきて、上下の口唇で食べ物を口の中にとり込みます。舌の前方で食べものを受け取ったら、すぐに上顎の内側の❝しわ❞のところに舌で挟み込み、食べものの特徴(物性、温度など)を確認して、次にどのような処理をしようか(そのまま飲み込もうか、押しつぶそうか、咀嚼しようか)を確かめるのです。ここは口の中のセンサーになっています。
スプーンを全部口の中に入れてしまうと、このセンサー部分よりも奥に食べものが取り込まれてしまいます。上顎は奥に行くにしたがって高くなっているため、舌との距離も離れることから、なおさら食べものの特徴を感じ取りにくくなります。また、舌の筋肉は下顎に付着しており、舌の前方が最も動きやすい部分です。この動きやすい部分を使って食べられるよう、できるだけ口の前のほうを使わせてあげましょう。

Q3.1歳6か月を過ぎたのですが卒乳できません。卒乳させる必要はあるのでしょうか?

A.この頃の子どもにとって乳首を吸うことは、栄養補給の手段というより、お母さんに甘えたい、乳首を吸う感覚から離れがたいという、精神的安定を満たす手段としての意味合いが大きいと思われます。子どもが自ら卒乳するのを待ってあげるのが理想ですが、卒乳が遅くなることは問題点もあります。まず、母乳でお腹がいっぱいになってしまい食事量が増えず、成長に必要な栄養素が不足する可能性があります。このころの子どもに必要な栄養素は、母乳や育児用ミルクだけでは補えなくなっています。そろそろ奥の乳歯(乳臼歯)も生えはじめ、噛む(咀嚼❝そしゃく❞)機能をつかっていろいろな食べものが食べられるようになっていますので、しっかり食事を摂ることが大切です。そして、寝かしつけるために授乳させている場合は、むし歯のリスクが高くなります。授乳に代わる入眠儀式(絵本の読み聞かせなど)を探しましょう。

Q4.1歳児におやつは必要でしょうか?

A.離乳完了期または完了したばかりの1歳児は、3回の食事でほぼ必要な栄養が摂れますので、しっかり食事が摂れているのであれば必ずしもおやつは必要ではありません。1回の食事量が少なくおやつを与える場合は、おやつを1回の食事として考えましょう。休憩を兼ねた大人のおやつとは意味が違いますので、砂糖の含まれた甘いお菓子ではなく食事に近いもの、例えばおにぎり、果物、焼き芋、チーズ、無糖ヨーグルト、牛乳などが適当と思われます。

Q5.1歳6か月児です。野菜が嫌いなので野菜ジュースを飲ませています。虫歯になりませんか?

A.野菜ジュースは栄養補給という面ではある程度効果はあると思われますが、野菜代わりに野菜ジュースを与えることにはいくつか問題があります。野菜ジュースは、野菜ばかりでなく、飲みやすいように果物や糖類が添加されていることが多いものです。果物の酸や糖類を含んだ飲料を、水代わりに頻繁に飲んだり、哺乳ビンやストローつきマグでだらだら飲みをしたりすると、むし歯や酸蝕症(酸で歯が溶けること)のリスクが高くなります。
コップで飲めるようになったら、食事やおやつのときに1日1回程度与えるのであれば問題ないでしょう。また、野菜ジュースでは野菜の繊維分を取り除いている場合もあるので、そのまま食べるのとは異なることもあります。火を通したり食べやすそうな野菜をすこしずつ試していくとよいでしょう。家族で「どんな音がする?」と噛んだときの音や食感を確かめ合ったりしながら、食べられる野菜を増やしていけるとよいですね。

Q6.2歳児ですが、寝る前に何か食べたがります。食べた後そのまま寝てしまうこともあるので、むし歯になりそうで心配です。

A.眠っている間は唾液分泌量が少なくなるので、口の中の自浄性が著しく低下します。寝る直前に食べたり飲んだりしてそのまま眠ってしまうと、口の中に飲食物が残ったままになりやすく、特に糖分を含む飲食物では酸の産生が起こり、むし歯のリスクが高まります。1歳ごろの就寝時哺乳をはじめとして寝る前の飲食の習慣はやめさせたいものです。
そのために、まずは夕食をしっかり食べられるよう、おやつを与える時間を工夫しましょう。夕食から寝るまでの時間が長い場合は、果物などの間食を早めに与えて、それから歯磨きをしましょう。「寝る前は湯さまし、または麦茶にする」ということを家族で決めて、子どもによく言い聞かせていくことが大切です。

Q7.3歳児です。ジュースや甘いお菓子を食べる習慣がついてしまいました。どうしたらよいでしょうか?

A.甘味はヒトが本能的に欲する味なので、一度味を覚えてしまうと子どもはひたすら欲しがるようになります。3歳を過ぎて友だちが増えると、友だちの家でお菓子やジュースを頂く機会も出てきます。できればジュースや甘いお菓子はそのような特別な時だけと言い聞かせて、普段のおやつは甘くないものを選びましょう。家にもジュースや甘いお菓子を買い置きしないことが重要なポイントです。
しかし、一度覚えた甘いお菓子を禁止するのは難しい場合もあります。その場合はなるべく歯にくっつきやすい甘いお菓子(ソフトキャンディー、グミ、チョコレートなど)を避け、おやつと飲み物の組み合わせも工夫しましょう。クッキーやプリンなど甘いおやつには牛乳か麦茶を、ジュースを飲むときにはせんべいなどを組み合わせるなど、どちらかは甘くないものを組み合わせましょう。
また、食事の前に糖分の多い菓子類やジュースを摂ると、食事のときにはまだ血糖値が高く、空腹感がないので食欲も出ません。結果、食事量も減ってしまいます。そして少し時間が経つとお腹が空いてしまって次の食事の前にまたお菓子などを欲しがる、といった悪循環になりがちです。
このような習慣にならないために、まずは、食生活の規律性をつけることが大切です。食事と食事、食事とおやつの間隔を2時間以上は空けて、食欲を育てることが重要です。

Q8.4歳児ですが、朝食を摂らないことが多いので心配しています。毎日朝食を摂らせるにはどうしたらよいでしょうか?

A.4歳というと、もう保育園か幼稚園に通園していることが多いと思います。朝食を摂らないとエネルギー不足になって、午前中の遊びや活動のパワーが不足してしまいます。子どもが元気に1日を過ごすためにも、最初の食事である朝食をしっかり摂ることが大切です。
子どもが夜遅くまで起きていて、寝る前に食べたり、睡眠不足だったりすると、朝起きたときに空腹感があまりなく、食欲がなかったり、機嫌が悪くなり、朝食を食べたがらないことも多いようです。1日生活リズムのなかで、早寝早起きを心がけて睡眠時間を十分に確保する、外遊びなどでお腹を空かせて食欲を高めるなどの対応をしていくとよいでしょう。
また、朝起きてから登園するまでに時間が短いと、朝食を食べない子どもが多くなるともいわれています。急かされないで食事ができるくらいの時刻に起床させることも大切でしょう。

Q9.食事の量が少なめなので気になっています。しっかりと食べさせるにはどうしたらよいでしょうか?

A.子どもの食事量にはそれぞれ差がみられるものです。極端に少なく体重増加があまりみられない場合は、小児科への相談が必要になることもありますが、元気に活動していてその子なりの体重増加があるならば、心配はいらないと思います。量は少なくても、なるべくいろいろな種類の食べものを食べさせてあげましょう。もともと少食の子どもに食事量を強制すると、食べる意欲が低下することがあります。まずは食べられる量を用意して、食べきれたら「もう少し食べる?」と聞くくらいのアプローチでよいと思います。
ただし、食事はあまり食べたがらないのにお菓子やジュースをほしがるような場合は、別のアプローチが必要です。おやつは昼食と夕食の間に1回(2時間以上間隔をあけて)と決めて、内容も甘くないものにしましょう。糖分の多い飲食物を食事前に摂ると、お腹が空かないので食事量が少なくなってしまいます。

Q10.歯を丈夫にする食べものはありますか?

A.歯は身体の一部ですので、丈夫な歯をつくるためには、バランスよく栄養を摂ることが大切です。また、食べものの観点から歯の栄養や健康を考えると、歯が形成される時期に必要な栄養が不足しないようにすることも重要でしょう。
歯の発生段階(歯胚形成)には良質のタンパク質が、歯が硬くなる石灰化の段階ではカルシウムとリンが必要になり、さらにカルシウムの代謝を助けるためにはビタミンDが必要です。また、エナメル質や象牙質などの歯質の基礎をつくるためにはビタミンAやビタミンDが重要です。
乳歯の歯胚形成は妊娠7週ごろから、石灰化は妊娠4か月ごろから始まります。永久歯もお腹の中にいる頃から歯胚形成が、出生した頃から石灰化が始まり、親知らずを除く永久歯の歯冠が完成するのは8歳ごろです。この期間(妊娠時期から8歳ごろまで)は栄養障害による歯の形成不全が生じる可能性があるため、特にカルシウムやビタミンが不足しないように気をつけたいものです。

予防(歯磨き・フロス)

Q1.歯磨きはいつから、どのような道具で始めたらよいのでしょうか?

A.歯磨きは乳歯が生えると同時に始めましょう。まずは、子どもをあお向けに寝かせ、頭を保護者の膝の上にのせます。そして、最初は指で口の中に触れてください。特に上唇の裏側を触られるのを嫌がりますが、すこしずつ範囲を広げ時間を長くすることで、口の中を触られることに慣れてきます。はじめのうちは水で湿らせたガーゼなどで拭くとよいでしょう。
慣れてきたら乳児用歯ブラシでの歯磨きを始めます。軽い力で歯に触れましょう。嫌がらずにできるよう話しかけたり、歌を歌ったりして、短時間で終わるようにします。上手にできたことをしっかり褒めてあげましょう。
特に睡眠時はむし歯予防作用のある唾液が少なくなるため、就寝前の歯磨きはとても効果的です。
歯と歯の間が詰まってきたらデンタルフロスも使用しましょう。年齢やお子さまの歯並びによっても気を付ける場所などが変わってきますので、どこを注意したらよいかはご相談ください。

Q2.1歳0か月児ですが、歯磨きは一人でさせてよいでしょうか?

A.1歳前後では正しくブラッシングする操作はできませんので、大人が歯みがきしてあげる必要があります。自分磨きはあくまでも習慣づけのためですので、歯ブラシを噛んで毛先が開いてしまってもすぐに交換する必要はありません。仕上げ磨き用の歯ブラシは別に用意し、毛先が開いたら交換するようにしましょう。
1歳前後はまだ立ち歩きを始めたころなので、歩き方が安定せず、転びやすい時期です。歯ブラシを口にくわえたまま転ぶと大変危険です。歯ブラシがのどの奥に突き刺さってしまった事故も報告されています。一人での歯磨きさせる場合はのどを突かない形の歯ブラシ(丸い形のグリップのものなど)を与え、大人がそばで見ながら座って歯みがきさせるようにしてください。歩きながら歯磨きさせないように気を付けましょう。

Q3.1歳6か月の子どもが歯磨きをしようとすると暴れて嫌がります。どうしたらよいでしょうか?

A.この年齢の頃は、歯磨きを嫌がる時期ですが、習慣付けのために毎日寝かせ磨きをして下さい。必死になるあまりつい怖い顔で力いっぱい磨いてしまいがちですが、この時期の歯磨きの大きな意味は習慣付けです、やさしく話しかけたり、歌を歌ったりしながら、是非楽しく笑顔で磨いてあげてください。大事なのは痛くしないことです。磨くポイントを押さえ効率よく磨いていきましょう。
下の前歯はむし歯になりにくい場所ですが、歯ブラシを当てやすく、磨き始める部位としては良いと思います。しかし、1~2歳でむし歯になりやすいのは上の前歯ですので、ここは気を付けてしっかり磨きましょう。上唇付近は敏感なため嫌がることが多いです。上唇小帯(上の前歯の歯肉から唇をつないでいるスジ)に歯ブラシが強く当たると痛いので、小帯を指でガードしながら磨いて下さい。
保護者の方の歯磨きを見せたり、ぬいぐるみの歯磨きをしてみたり、歯磨きの絵本や動画見ながら歌いながら磨いたりなどいろいろ工夫してみてください。ある日突然、上手になることもあります。

Q4.3歳児です。仕上げ磨きはいつ頃まで行ったらよいのでしょうか?

A.仕上げ磨きは小学校中学年の10歳頃まではされたほうがよいでしょう。
年齢が上がるしたがって、むし歯になりやすい部位も変化してきます。3歳児では、奥歯の噛む面や頬面の溝がむし歯になりやすいので、仕上げ磨きではしっかりその部位を清掃してください。4~5歳では奥歯の歯と歯の間がむし歯になりやすいためデンタルフロスが必要となり、仕上げ磨きが必要です。
6歳前後では永久歯が萌出しはじめます、萌出後3~4年はむし歯になりやすいため、やはり仕上げ磨きは10歳頃まではされたほうがよいと思われます。

Q5.歯と歯の間の清掃について教えてください。

A.乳歯列では歯と歯の間に隙間がある場合とない場合があります。隙間がない場合、歯ブラシではプラークを除去できず、むし歯ができやすくなります。これを予防する道具がデンタルフロスで、フロスで清掃することを「フロッシング」と言います。
現在たくさんの種類のデンタルフロスが市販されており、フロスを切って指に巻いて使うタイプとホルダーつきのタイプがあります。使い慣れていない方は導入としてホルダーつきから始めても良いですが、清掃時の感覚が良くわかるのは指に巻いて使うタイプです。ぜひ指に巻いて使うタイプも練習してみてください。またワックス付きとノンワックスがありますが、ご自宅で使われる場合はワックス付きの方が滑りがよく使い勝手が良いでしょう。フレーバ―付きのものもありますのでお気に入りを探してみてください。
6~7歳くらいになったら自分で使えるよう練習してみましょう。

Q6.歯磨剤を間違って飲んでしまいました。大丈夫ですか?

A.小児に対して勧められている小豆大くらいの使用量であれば、飲み込んでも心配はいりません。歯磨剤の基本成分には研磨剤、湿潤剤、発泡剤、粘結剤、香味剤、保存料が含まれ、吐き出すことを前提としているため、子どもが上手に吐き出すことができるようになってから使用するのがよいでしょう。低年齢児で吐き出しがまだできない場合は、うがいの必要がないフッ素配合ジェルなどを使うと良いでしょう。

予防(フッ素)

Q1.フッ素を使うと虫歯にならないのでしょうか?

A.フッ素を塗ったからと言ってむし歯にならないということはありません。むし歯は、むし歯菌が糖を代謝させて酸を産生し、その酸で歯が溶ける現象で、歯・細菌・糖の3つの要因と時間が関係して発生します。フッ素を使うと歯質が強化されて、酸に溶けにくくなりますが、歯磨きがが不十分で歯にプラークが付着した状態で、糖を多く含む食品を食べることが続けば、フッ素を塗っていてもむし歯になります。
むし歯予防で一番大切なことは、正しい生活習慣を守ることです。歯磨きとフロスの習慣を身につけ、間食の砂糖の量と回数を減らすことがむし歯予防につながります。フッ素はその次です。

Q2.フッ素を応用する方法には、どのようなものがありますか?

A.むし歯予防のためのフッ素応用法には全身応用と局所応用があります。日本国内では全身応用としての水道水フロリデーション(水道水へのフッ素添加)は実施されておらず、フッ素添加食品としてガムが認められているのみです。局所応用としては、歯科医師や歯科衛生士の専門職によるフッ素歯面塗布と、むし歯になりやすい歯の溝やくぼみをシーラント材(フッ素含有樹脂)で埋めるシーラントがあります。シーラントはむし歯になりやすい場所を埋めることで物理的な面でむし歯を予防できるほか、シーラント材の中に入っているフッ素が徐々に放出して歯質が耐酸性に改善する科学的な効果もあります。また、家庭で取り組める方法としては、スプレータイプのフッ素、フッ素配合ジェル、フッ素配合歯磨剤、フッ素洗口法があります。

Q3.フッ素歯面塗布は、何歳から行うとよいですか?

A.フッ素歯面塗布は、生えてきた直後の歯に対して行うのがもっとも効果的です。歯は結晶体が未成熟の状態で生えてくるので、生えてから2~3年の間はむし歯になりやすく、注意が必要です。その反面フッ素への反応性も高いので、フッ素の取り組み量は多く、歯質の強化に効果的です。フッ素歯面塗布は、新しい歯が生えてくるたびに繰り返し塗布することで効果が高まります。したがって、最後の永久歯(第二大臼歯)が生えて2~3年後の15歳頃までは、3~4か月間隔でフッ素塗布を行うのがよいでしょう。

Q4.家庭でフッ素を取り入れることができますか。

A.家庭では、スプレータイプのフッ素、フッ素配合ジェル、フッ素配合歯磨剤を使用しての歯磨きや、フッ素洗口を行うことができます。
スプレータイプのフッ素は奥歯が生える前まで、フッ素配合ジェルは奥歯が生えてきてからの使用がおすすめです。
フッ素配合歯磨剤は、欧米で子どものむし歯が急激に減少したことで高く評価されています。日本においても流通している歯磨剤の約90%にフッ素が配合されています。2017年にはフッ素イオン濃度の上限を1,500ppmとする高濃度フッ素配合歯磨剤が新たに認可されました。フッ素濃度が高いほうがむし歯予防効果は高くなりますが、安全かつ高いむし歯予防効果のためには、年齢に合わせた大きさの歯ブラシを使用し、年齢に適した歯磨剤の用法と容量を守ることが大切です。1,000ppmを超える高濃度フッ素配合歯磨剤は6歳以上の子どもから使うことができます。日常の歯磨き1回分を誤って全て飲み込んだとしても、フッ素の急性中毒量は体重1kgあたり2mgFとされていますので急性中毒の心配はありません。
フッ素洗口は局所応用のなかで費用対効果が最も優れているとされています。うがいが確実にできる(1分間水を保持でき、吐き出せる)4歳以上の子どもが適応になります。適応が4歳以上ですので乳歯に対するむし歯予防法としては不十分で、永久歯に対する予防手段であるといえます。生えた直後の歯質の成熟を助け、初期むし歯を再石灰化する作用もあるため4~14歳ごろまでの継続実施が推奨されています。毎日寝る前に使用しましょう。

歯の病気

Q1.親子の間でむし歯菌がうつると聞いたのですが、どのようなことに気をつければよいですか?

A.むし歯の原因菌であるミュータンスレンサ球菌は、保護者(特に母親)の唾液から子どもに感染します。子どもに感染しやすい生後19~31か月頃の期間を「感染の窓」といい、ちょうど乳歯の奥歯が生える時期にあたります。ミュータンスレンサ球菌の型と菌量は、親子間で強い関連がみられます。
保護者にむし歯があり、唾液中の原因菌量が多い場合、早い時期から子どもに感染しやすくなり、子どもの菌量も多くなります。まずできることは、子どもの歯が生えてくる前に保護者がむし歯を治療し、歯磨きをしっかりとする習慣をつけることです。保護者の口の中の原因菌が少なければ、感染率は下がり、定着を遅らせることができます。食べものの噛み与えや食器の保護者との共有も避けたほうがよいでしょう。

Q2.2歳の子どもの口の中全体にむし歯があるといわれました。ジュースが好きで毎日飲ませていますが、歯磨きを頑張ればむし歯の進行は止まるでしょうか?

A.むし歯がエナメル質の表面だけでなく、象牙質の中まで進行した場合、表面だけをよく磨いても進行を止めることはできません。むし歯は治療しない限り進行します。
ミュータンスレンサ球菌をはじめとするむし歯菌は、飲食物中の糖を分解して酸を産生し、その酸が歯を溶かし、むし歯が発症します。ジュースには多量の糖(ショ糖、ブドウ糖、果糖など)が含まれており、ジュースの頻回摂取はむし歯のリスクを高めます。乳酸菌飲料やスポーツ飲料も糖を多く含むため、常飲しないよう注意が必要です。また、子どもを寝かしつけるために、就寝前に哺乳ビンでジュースを与えることは「哺乳齲蝕」の原因となり大変危険です。
ジュースをお茶などの飲みものに変更するか、せめてジュースを飲む時間を決めてダラダラと飲まないことが大切です。

Q3.4歳の子どもの奥歯がむし歯で抜歯が必要といわれました。抜歯したあとの歯は抜けたままですか?

A.乳歯の奥歯をむし歯で抜歯した場合、長期間放置すると、後方の歯が前方に移動したり、抜歯した歯と咬み合っていた歯が移動したりします。結果として、抜歯した乳歯の後から生えてくる永久歯のためのスペースが失われ、位置に異常が生じ、歯並びが悪くなることがあります。このようなことを防止するために、「保隙装置」とよばれる装置を装着します。保隙装置は、後方の歯が前方に移動することを防ぐ「支え」の役割を果たします。また、多くの歯を抜歯した場合は可撤保隙装置とよばれる、義歯(入れ歯)タイプの装置を用いて、支えの役割だけでなく噛むことや見た目も回復させます。装着後は定期的に装置の状態を確認し、調整や作りかえが必要です。保隙装置は、永久歯が萌出してくるまで年単位で長期間使用します。

Q4.むし歯で神経を取らなければいけないと言われました。低年齢なのに神経を取るのは不安です。永久歯も神経がなくなるのでしょうか?

A.乳歯の神経の処置は適切に行えば危険な処置ではありません。乳歯と永久歯は神経がつながっているわけではありませんので、永久歯は神経のある状態で健康に生えてきます。ただ、根管治療を行った乳歯は、歯根の吸収時期が本来よりも早まったり遅くなったりすることがあります。その影響で永久歯の生える時期も前後することがあります。むし歯が大きく根の先が膿んだ状態のまま長期間放っておいた場合、永久歯に形態異常を生じたり黄色く変色たりすることがあります(ターナーの歯)。ほとんどは生えてくるまでわかりません。また永久歯は膿を避けて萌出しようとしますので、変な方向から生えてくることもありますので、永久歯のためにも乳歯の治療をしっかりとしておくことが大切です。

Q5.3か月前に転んで上の前歯2本をぶつけたところ、色が変わってしまい、左は元に戻りましたが右は変色したままです。放っておいてもよいでしょうか?

A.歯の外傷は、程度によって多様な症状が現れてきます。軽くぶつけた程度でも徐々に歯髄が死んでしまったり、歯根が異常吸収したりすることもあります。お子さまの場合は、外傷直後より歯髄内に充血が起こって歯の変色が起こったものと考えられます。左の前歯は充血状態から徐々に回復し元に戻ったと考えられますが、右は歯の血管が根の先で断裂してしまい、歯の神経(歯髄)への栄養が供給できずに、壊死している可能性があります。歯ぐきに膿の袋できた場合には、中の歯髄を除去する必要あります。また、見た目は正常でも歯の根が折れている場合もありますので、エックス線検査をして経過を診ることが必要です。歯の外傷時にはなるべく早くご相談ください。

歯並び

Q1.2歳です。咬み合わせが反対になっています。このままでよいのでしょうか?

A.下の前歯が数本にわたって上の前歯を覆い、上下の咬み合わせが逆になっている状態を「反対咬合」といいます。
乳歯の反対咬合の原因には、上と下の前歯の傾き方、下顎を前に出す癖、上顎が小さい、下顎が大きい等が挙げられますが、これらが複合して生じることもあります。
まだ前歯しか生えていない1~2歳ごろから前歯が反対になることがありますが、この時期はまだ咬み合わせが安定していないため自然治癒の可能性があります。しかし咬み合わせが安定する3歳を過ぎても糸切り歯を含む前歯の反対咬合が継続している場合は、上顎の成長抑制や低位舌などを生じ、食べ方、話し方などの学習過程にも影響するため、乳歯の時期から対処しておいたほうがよいと思われます。早期に治療することで上顎の成長を促進させることができ、永久歯の反対咬合を予防、または軽度にする効果もありますので、ご相談いただければと思います。

Q2.3歳です。交叉咬合といわれましたが大丈夫でしょうか?

A.下顎が横にずれて奥歯の咬み合わせが反対になっている状態を「交叉咬合」といいます。下顎に比べて上顎の横幅が狭いことや、片側ばかりで頬杖を突くなどの癖が原因で高叉咬合になることもあります。乳歯の交叉咬合を放置してしまうと、顔がななめに変形して成長してしまいます。歯並びは矯正治療で治すことができますが、いったん変形した顎の形は治すことが困難です。自然治癒する可能性は低いため、交叉咬合に気づいたらなるべく早くご相談いただき、可能な限り早期の治療をお勧めいたします。

Q3.5歳です。前歯の歯並びに隙間があり、気になります。

A.乳歯の時期にみられる隙間は「霊長空隙」「成長空隙」と呼ばれ、正常な歯並びです。永久歯の幅は乳歯より大きいので、これらの空隙があることで永久歯に生え変わったときにきれいに並びます。前歯が生え変わるころに顎が成長し隙間が更に大きくなります。しかし、舌で歯を押してしまう癖が原因で隙間が大きくなってしまっている場合もありますので、ご不安でしたらご相談ください。

Q4.私は歯並びが悪いのですが、子どもも将来歯並びが悪くなりますか?歯並びがわるくならないために何に気をつけたらよいですか?

A.顔が似るのと同様に歯並びも両親親族に似ます。しかし、子どもの歯列不正は環境的要素も関わっています。
環境的要素はさまざまありますが、特に影響が大きいものは、
①食生活
②むし歯による歯の崩壊
③指しゃぶり
④舌を突き出したり咬んだりする癖
⑤唇がポカンと開いている
⑥鼻やのどの病気
⑦日常の姿勢や頬杖などの癖
です。これらの問題があると、歯並びが乱れてしまうことがあります。
気になる場合は矯正検査を受けましょう。早期の管理で歯並びが悪くなるのを防ぐことができるかもしれません。

舌小帯・上唇小帯・口腔粘膜

Q1.生後1か月の乳児です。舌が短いような気がしますが、授乳には支障をきたしていません。このままでよいでしょうか?

A.舌と口腔底をつなぐ薄い膜を「舌小帯」といいます。舌小帯は新生児のときは、成人より厚く短く舌の先端近くに付着していますが、顎や舌の成長とともに長く扁平に伸びていくのが一般的です。授乳に支障があるほど舌小帯が短い場合は、切除することもあります。

Q2.5歳児です。舌で上唇をうまくなめられず、舌を前に突き出すと先がハート型にくびれます。このまま様子をみてよいでしょうか?

A.舌を突き出したときにハート型にくびれるのは「舌小帯短縮症」と診断されます。咀嚼、嚥下、発音などに影響を及ぼして口腔機能の発達不全を引きおこします。舌が上手に動かせないために、食べにくい食品を避けるようになって食べものの好き嫌いの一因や“流し込み食べ”の原因になったり、サ行、タ行、ラ行の発音が不明瞭になったり、早口で話すことができなくなったりします。舌小帯を切除したり、舌をコントロールできるように舌の筋機能訓練(MFT)を行うことが必要な場合もありますのでご相談ください。

Q3.1歳6か月児ですが、上唇のヒダが前歯のすぐ近くまで伸び、前歯に隙間があります。心配ないでしょうか?

A.乳幼児期には、上唇小帯(上唇と上顎をつないでいる線維の束)が前歯の間に入り込む場合がありますが、歯の萌出とともに顎骨が成長・発育し、永久側切歯に生えかわったときには問題なくなることが多いです。しかし、上顎の側切歯(前から2番目の歯で8歳頃に生えます)が生えても、隙間が2mm以上ある場合には、自然に隙間が閉鎖することはないといわれています。上唇小帯の問題だけでなく、「過剰歯」といって余分な歯がある場合や逆に永久歯が欠如している場合があるので、ご不安でしたらご相談ください。

Q4.上唇のヒダが前歯の間まで伸びていて歯磨きがしにくくて困っています。

A.上唇小帯の幅が広く上唇を引っ張る力が強い場合には、上唇が動かしにくいため汚れが付着しやすくなり、むし歯や歯肉炎の原因になります。仕上げ磨きをするときは、歯ブラシを持っている手の反対側の人差し指で上唇小帯が傷つかないように保護しながら歯磨きをすると良いでしょう。しかし、お子さんの協力状態や上唇小帯の状態によっては歯磨きが困難な場合もあるので、お困りでしたら一度ご相談ください。

Q5.口内炎がよくできます。何に気をつけたらよいですか?

A.子どもは成人に比べると免疫力が弱く粘膜が軟らかいため、ちょっとした刺激でも口内炎ができます。口内炎の原因は、物理的刺激や食生活・生活リズムの乱れによる疲労の蓄積、口の中を不潔にしていることなどです。まずは口の中を清潔に保ち、生活リズムを整え、疲れすぎないように気をつけてあげることが大切です。
不規則な生活は自律神経を乱し免疫力を下げてしまうので、早寝早起きをしましょう。食生活ではビタミンB2(レバー、納豆、乳製品、卵など)、ビタミンB6(カツオ、サンマ、レバー、卵など)は粘膜を強化し、ビタミンA(にんじん、かぼちゃ、ほうれん草など)、ビタミンC(野菜、果物)は免疫力を高めるといわれています。できれば食事のなかで摂取するとよいでしょう。また砂糖の摂りすぎは体内のミネラル、ビタミンを大量に消費するため気をつけましょう。

口のくせ(指しゃぶり、おしゃぶり、口唇閉鎖不全)

Q1.2歳をすぎてもおしゃぶりを離せません。このまま使っていてもよいでしょうか?

A.泣いたりぐずっている赤ちゃんにおしゃぶりを与えると、泣きやんだり静まったりすることが多いため、おしゃぶりは赤ちゃんをなだめるのに効果的なアイテムと考えられています。しかし、1歳を過ぎて言葉を覚え、おしゃべりで周囲の人たちとコミュニケーションを図ろうとしはじめる時期に、おとなしくしているからと長時間おしゃぶりを与えておくことは望ましくありません。2~3歳過ぎてもおしゃぶりを使いつづけていると、咬み合わせなどへの影響が出てくることもあります。2歳を過ぎると子どもも少しずつ周囲のことが分かってくるので、外遊びやおしゃべりなど子どもが気分を発散できる物事に興味を向けるようにして、しゃぶる頻度を減らしてやめる方向にもっていきましょう。

Q2.3歳半になりましたが、指しゃぶりがやめられません。上の前歯が前に出てきたようで、歯並びが心配です。

A.全ての乳歯が生え揃うころまで指しゃぶりをしていると歯並びや咬み合わせに影響が出てきます。上の前歯が突出したり(上顎前突)、上下の前歯に隙間ができたり(開咬)、上顎の幅が狭くなったり(歯列狭窄)します。できれば2~3歳ごろから頻度を減らしていき、4歳までにはやめさせたいものです。しかし、指しゃぶりには精神安定の意味もあり、まだ本人にやめようという意識がないうちに苦いマニュキアを塗ったり強制的にやめさせたりすることは好ましくありません。強く叱ってストレスを感じた場合、足の指を吸ったりチックが出たりなど他の癖に移行することもあります。まずは本人の自覚を促して自ら“やめよう”という気持ちにしていく働きかけをしましょう。爪にマジックで顔を描いて「親指さんが痛い痛いって言っているよ。」「もう赤ちゃんじゃないからやめようね。」などと声かけをしてみてください。そして、本人もやめようという意識が出てきたらそのタイミングで苦いマニキュアを塗ったり、就寝時であれば靴下をはめたりして指しゃぶりをやめる応援をしていきましょう。お子さまの状況によって対応が異なってきますのでご相談ください。

Q3.4歳になります。いつも口をポカンと開けています。

A.「いつも口をポカンと開けている」すなわち「口唇閉鎖不全」は、さまざまな原因で起こります。アレルギーや鼻炎などで鼻呼吸ができないために口で呼吸していたり、それが治っても口呼吸が習慣になっていたりすることがあります。また、上下の顎の大きさの不調和や歯並びや咬み合わせが原因で口が閉じにくい場合もあれば、口の周囲の筋力が弱く、唇の閉鎖状態が悪い場合もあります。口唇閉鎖不全は口呼吸と関連しやすく、口やのどの粘膜の乾燥や気道感染を引き起こし、舌の機能異常や咀嚼・発音の問題を招きやすいものです。
鼻炎による鼻閉やアデノイド・口蓋扁桃の肥大によって起こる口呼吸については、耳鼻咽喉科での対応が必要となりますが、習慣的な口呼吸の場合は、日常生活のなかで鼻呼吸と口唇閉鎖を促していくような対応が望まれます。
積極的に口をつかって吸ったり吹いたりする遊び(吹き戻し、しゃぼん玉、ハーモニカなど)に誘って口を閉じる力をつけていったり、鼻から息を吸ったり出したりすることを遊び感覚で練習させていきましょう。
4歳になれば理解力もついてくるので、口を閉じて鼻で呼吸することが大切なことを説明して、少しずつ意識付けていくこともできます。食事のときも唇をつかった食べ物のとり込みや、咀嚼中の口唇閉鎖を促していきましょう。口唇閉鎖力が低いお子さまの場合は唇のトレーニング(MFT)などを始めてもよいと思います。

その他

Q1.2歳児です。むし歯ではないのに下の前歯が抜けてしまいました。生えかわりが早いだけなのでしょうか?

A.乳歯のうち一番早く永久歯に生えかわるのは下の前歯ですが、その時期は通常5~6歳頃です。2歳や3歳で生えかわることはありませんので、この時期に前歯が抜けたり、ぐらぐら揺れたりしている場合には別の理由が考えられます。低ホスファターゼ症などの全身の病気が存在する可能性もありますので、まずはご相談いただき歯の状態を診査したうえで、場合によっては全身状態の診査のために小児科に紹介することが重要となります。

Q2.3歳児です。寝ているときによく歯ぎしりをします。大丈夫でしょうか?

A.実は子どもも大人もほぼ全ての人は多少なりとも歯ぎしりや食いしばりなどをしており、これは脳にかかるストレスを自分で発散していると言われています。3歳頃は覚える語彙数が格段に増え、社会生活も広がる時期であるため脳が活発に活動し、夜間の歯ぎしりが増えることがあります。音が気になるかもしれませんが、生理的な現象であり、咬み合わせが安定する良い面もありますのであまり心配はいりません。しかし、まれに歯の表面のエナメル質だけではなく内側の象牙質もすり減ってしまうことで知覚過敏が起こったり神経が露出したりすることもありますので、そのような状態になったら処置が必要になります。そのままにしておいてよいか気になる場合にはご相談ください。

Q3.夏になると汗をかくので、スポーツドリンクが体に良いと聞きましたが、毎日飲ませても大丈夫ですか?

A.スポーツドリンクは、体に吸収されやすく疲労回復にも効果があると思われていますが、OS-1などの経口補水液以外はただの砂糖水です。糖分が多く含まれ、むし歯になりやすいことを覚えておく必要があります。特にスポーツドリンクのペットボトルを持ち歩くと、ついつい飲む回数が増えてしまうことがあります。長時間にわたってむし歯菌が酸を出すため、歯が溶けてむし歯が発生してしまいます。
また、スポーツによる外傷の予防のためにマウスガードを装着している人では、糖分が歯の表面と密着することから、さらにむし歯が進行しやすくなりますので十分注意してください。野外での長時間の運動で大量に汗をかいた場合にはナトリウムが必要になってきますが、日頃の水分補給には水かお茶で十分です。


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